コーラ白書
TOP 四季報 データベース 缶コレ 資料館 殿堂 検索 ヘルプ

Coca-ColaやPEPSIのロゴ入り記念品(ノベルティ)はコレクターの間で人気があり、中でも関係者のみに配布されたアイテムはその希少性から高値で取引される事も珍しくない。今回紹介するのは60年以上前に作成されたペプシのロゴ入りのノベルティながら、ちょっと変わった一品である。

このノベルティは、明治27年創業の老舗酒類卸「神戸酒類販売株式会社」が1969年に製造したものだ。同社の沿革によるこの年は高田屋乾店として創業して75周年、 国税庁の指定を受け神戸酒類販売株式会社を立ち上げて20周年に当たり、本品は5月の本社新築を記念して作成されたものらしい。大きさは幅約30cm 長さ45cmのトレーで、木目調ラミネートを施した樹脂シートを熱成型して作られてる。

そして目を引くのはそのデザインで、上面に色々な酒造・飲料メーカーのロゴや商品名が散りばめられている。菊正宗や月桂冠、黒松白鹿のような日本酒に始まり、サントリーのビールとウィスキー、清涼飲料から味醂やお酢、奈良漬に至るまで38社の社名や代表的な製品の名称が並ぶ。当時まだカタカナロゴだったペプシコーラも含まれている。

おそらく当時の神戸酒類販売株式会社の取引先や取扱商品をノベルティに印刷し、関係者に配布したものと思われる。

当時既に圧倒的なシェアを持っていたコカ・コーラは本品の上には見られない。後にペプシと手を組むサントリーはビールとウィスキーのみで、一方アサヒビールの所には三ツ矢サイダーとバャリースが載っているのが興味深い。

1969年(昭和44年)頃、関西では日糖飲料がペプシコーラの製造を担当していた。日本清涼飲料工業会による「外国飲料」コカ・ペプシ反対運動が激化し、農林省(当時)が調停に入ったのもこの年だ。業界の緊迫はどこ吹く風、町の酒屋さんではペプシがイカリソースや三ツ矢サイダーと隣に並んで売られてる様子が目に浮かぶ。

ペプシのカタカナロゴに止まらず、本品は66年前のある酒卸の風景のスナップショットとして貴重な資料でもある。